その後、アッシュ達は何故か一緒にお風呂に入れられた(アッシュは入って当然だけど、ルークはわからない恐らくノリ)
ルークとアッシュは取りあえずおそろいの服(そもそもルークの服)を着せられて、今現在両親と一緒にティータイム中だった。
父クリムゾンも至極嬉しそうに(と言うかデレデレでキモい)会話を楽しんでいる。
((父上もか!!?))
二人で心の中のローレライに突っ込みを入れつつ紅茶を飲んだりスコーンを食べたりする。アッシュなんて久しぶりのまともの食物につい勢いが付きそうになるのを堪えるのに大変だった。
ルークの隣でルークが物を食べてルークが笑って……今のアッシュは間違いなくクリムゾンの息子だった。デレっぷりが似ている。しかし、彼は今の状況の幸せを噛み締めるのに集中していて周りの評価なんぞ雑音だった。
一度死んでから何か吹っ切れた様だ。(主に大事なものも)激しく彼の将来が不安になる。
しかしながら、不幸な事に止める人間は皆無だった。否、止めたら死ぬ。絶対に死ぬ。肉体ではなく精神が破壊される。
そんな本能的恐怖が足を鈍らせている。
妻に差し出されたキッシュを流麗な所作で食べる父親。子供二人に気を使いながら、夫に寄り添う美しい妻。愛らしい子供達(中身は問うてはならない)
恐らく、夢のような光景だろう。
シュザンヌの腰掛けているものを見なければ……。
彼女が椅子に使っているものは……譜術の直撃を受けて伸びたヴァンを乗せた台だった。一応四つん這いにして座る気だった彼女を止めたのは愛しい息子達だった。
いくら髭でも、師匠と呼ぶ人間のそんな姿は見たくない。
「そうだわ!お兄上様に言って戸籍を増やさなくてはいけないわね。アッシュはお兄様になるのですよ?」
「そうだな、シュザンヌ。なら双子のお披露目に新しく衣装を仕立てないといけないな」
いいね?二人とも。
いいですわね、忙しくなりますわよ。
のんびり、ゆったりと告げてくる両親に眼を丸くして固まったルークを視姦しつつ脳内で未成年を断わりの妄想をしていたアッシュが口を開く(本当に将来が心配だった)
「構いませんが……陛下の説得はどうされるのです?ナタリアはなんだか母上に驚いて帰ってしまったみたいですが?」
と言うか、ナタリアも今の今まで忘れていた。だってルークをどう調教するかで思考はいっぱいだった。そんなアッシュに気付かず不安げにその手を握るルーク(一番の危険人物はアッシュだと気付かない)
「お兄上様の事なら、今度私がお話ししに行きます。何の心配もありませんよ」
「シュザンヌが努力を惜しまないのなら、私も一肌脱ごうか」
「あら?兄上様に脅っ、説得なら私だけで大丈夫ですわよ?」
…………なにも聞かなかった事にしよう。そう、手を繋ぎあい二人は頷きあった。
だって怖いし。
「ああ、そうではなくて……同性婚が出来る様にだ。そうすれば、親子四人で暮らせるしな」
はははははと笑う父に母が眼を輝かせる。意味が分からなかったらしいルークは一人小首を傾げる姿に三人揃って鼻の下を伸ばしつつ、アッシュは改めて父に尊敬の念を抱いたのだった。
終われ!!