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還って来てから、ルークはシュザンヌやかつての仲間達によってかなり甘やかされた。子供として真っ当に成長できなかったから、自分達がそうしていたいからという理由で。
そんな中、ルークはたまに嫌気がさして逃げ出すのだが、行く場所はひとつだけだった。
裏庭のルークの木(ペールが植えた木登り用の大きな木だ) そこに登り書庫で見つけてきた本を広げ、被験者のアッシュがいつも腰掛けていた。
太い幹に背中を預け、長い足を枝に投げ出すように座り、ページをめくる。アッシュは必ずそこに居て、ルークが来ると登る手助けをしてくれる。
「また逃げてきたのかよ、母上達は?」
「多分……探してる。トイレって出てきたし」
「いいのか?」
「うん、アッシュがいい」
じっと見詰めてくるルークに、アッシュは苦笑をし、膝を叩いて見せる。瞬間、花が咲くような無邪気な笑顔を浮かべルークはアッシュの膝に頬を擦りつけた。嬉しそうなルークを見詰めていたアッシュはその柔らかい朱金に指先を絡め、指を遊ばせ始めた。
暫らく、そんなふれあいが続き、ルークはちらりとアッシュの様子を盗み見る。
(よかった……)
アッシュは、時々、本当に時々だが……甘やかされているルークを羨んでいる。しかし、その事を本人は自覚していない。ただ無条件に甘やかされ庇護されるルークと……立派な跡継ぎが帰ってきたと手放しに喜び安堵されたアッシュ。
シュザンヌですら、一時期は片時も離したがらなかった二人の息子を最近はまだ子供だからと言う理由だけでルークを呼ぶ。アッシュはある程度、年を重ねているから、母親に拘束されるのも辛かろうと言って。
内心、どう考えているか理解しようともせず……。
アッシュは無意識に誰かに甘えたがっている時があり、帰還してすぐはシュザンヌが毎日顔を出していた事もあり、寂しさを覚えては居なかったようだ。幼少時の愛情不足が……原因だと、ルークですら簡単に理解できたのに……。
ダアトでも誰かに甘えるなんて出来なかったろう。
ずっと成長出来ず、身体と精神を蝕む薬と洗脳を受け、育ったアッシュはとても脆く歪だった。それでも持ち前の潔癖な性格と生真面目さで道を外すことは無かった。
そんなアッシュに気付き、真っ先に駆けつけ手を差し伸べたのはルークだった。遠まわしに、アッシュが甘えやすい行動を選び、甘えるように見せてアッシュの望みをかなえる。旅のさなかなら憎しみの対象として、理解しあい半身として存在を確立してからは、甘え慰め……無償の愛を与える。それがルークの望みで喜びだった。
今も、肌寒さと心もとなさをアッシュが覚え始めた事に気付き、慌ててきたのだ。ぬくもりと触れ合いで味わう心地よさを与える為に。
(俺でいいなら、たくさんたくさんあげるから、だからそんなに泣きそうな声で呼ばないで)
あなたの声が泣きそうだと泣きたくなるから。
あなたが怖い夢を見て苦しんでいると苦しいから。俺がうなされていた時、側に居てくれる優しい人。自分だって寂しくて寒くて泣きそうなのに……。
抱きしめると安心してくれるなら抱きしめる。名前を呼び、笑ってくれるなら何度でも呼ぶ。キスをしてセックスをして……。幸せと感じていて欲しい。
いま、彼が誰かを求める時、一番最初に求めてくれるのは婚約者のナタリアではなく自分。恋人として近くに居る自分なのだ。
それが、誇らしい。
いま、アッシュは安心した表情を浮かべている、幸せそうにルークを見詰めている。触れ合う肌から伝わる気恥ずかしくなるほどの愛情に、ルークは伸び上がり、キスをする事で答えた。
そんな中、ルークはたまに嫌気がさして逃げ出すのだが、行く場所はひとつだけだった。
裏庭のルークの木(ペールが植えた木登り用の大きな木だ) そこに登り書庫で見つけてきた本を広げ、被験者のアッシュがいつも腰掛けていた。
太い幹に背中を預け、長い足を枝に投げ出すように座り、ページをめくる。アッシュは必ずそこに居て、ルークが来ると登る手助けをしてくれる。
「また逃げてきたのかよ、母上達は?」
「多分……探してる。トイレって出てきたし」
「いいのか?」
「うん、アッシュがいい」
じっと見詰めてくるルークに、アッシュは苦笑をし、膝を叩いて見せる。瞬間、花が咲くような無邪気な笑顔を浮かべルークはアッシュの膝に頬を擦りつけた。嬉しそうなルークを見詰めていたアッシュはその柔らかい朱金に指先を絡め、指を遊ばせ始めた。
暫らく、そんなふれあいが続き、ルークはちらりとアッシュの様子を盗み見る。
(よかった……)
アッシュは、時々、本当に時々だが……甘やかされているルークを羨んでいる。しかし、その事を本人は自覚していない。ただ無条件に甘やかされ庇護されるルークと……立派な跡継ぎが帰ってきたと手放しに喜び安堵されたアッシュ。
シュザンヌですら、一時期は片時も離したがらなかった二人の息子を最近はまだ子供だからと言う理由だけでルークを呼ぶ。アッシュはある程度、年を重ねているから、母親に拘束されるのも辛かろうと言って。
内心、どう考えているか理解しようともせず……。
アッシュは無意識に誰かに甘えたがっている時があり、帰還してすぐはシュザンヌが毎日顔を出していた事もあり、寂しさを覚えては居なかったようだ。幼少時の愛情不足が……原因だと、ルークですら簡単に理解できたのに……。
ダアトでも誰かに甘えるなんて出来なかったろう。
ずっと成長出来ず、身体と精神を蝕む薬と洗脳を受け、育ったアッシュはとても脆く歪だった。それでも持ち前の潔癖な性格と生真面目さで道を外すことは無かった。
そんなアッシュに気付き、真っ先に駆けつけ手を差し伸べたのはルークだった。遠まわしに、アッシュが甘えやすい行動を選び、甘えるように見せてアッシュの望みをかなえる。旅のさなかなら憎しみの対象として、理解しあい半身として存在を確立してからは、甘え慰め……無償の愛を与える。それがルークの望みで喜びだった。
今も、肌寒さと心もとなさをアッシュが覚え始めた事に気付き、慌ててきたのだ。ぬくもりと触れ合いで味わう心地よさを与える為に。
(俺でいいなら、たくさんたくさんあげるから、だからそんなに泣きそうな声で呼ばないで)
あなたの声が泣きそうだと泣きたくなるから。
あなたが怖い夢を見て苦しんでいると苦しいから。俺がうなされていた時、側に居てくれる優しい人。自分だって寂しくて寒くて泣きそうなのに……。
抱きしめると安心してくれるなら抱きしめる。名前を呼び、笑ってくれるなら何度でも呼ぶ。キスをしてセックスをして……。幸せと感じていて欲しい。
いま、彼が誰かを求める時、一番最初に求めてくれるのは婚約者のナタリアではなく自分。恋人として近くに居る自分なのだ。
それが、誇らしい。
いま、アッシュは安心した表情を浮かべている、幸せそうにルークを見詰めている。触れ合う肌から伝わる気恥ずかしくなるほどの愛情に、ルークは伸び上がり、キスをする事で答えた。
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