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部屋の扉を開くと、灰色の中に鮮烈な深紅が映りこむ。それに安堵の息を吐き出しながら彼の側まで駆け寄って行く。
「どうした?」
無表情な顔に似つかわしくない優しい声に、頬が緩む。
「アッシュがいないから、探した」
その声に、彼は目を微かに細めると立ち上がる。
「どこにもいかねぇ、行くならてめぇを連れて行く」
あきれたのかそんな気持ちを多分に含ませて髪を乱暴に撫ぜられる。変な声を小さく出すとルークはアッシュに抱きついた。
目の前の赤を指に絡め、口付ける。少し固まっていたアッシュがそのままルークを抱きしめてきた。
「ルーク」
名を呼ばれ、ウンと返事をするとまた呼ばれる。それの繰り返しを続けていたら。落ち着かなかった感情が穏やかになってくるのがわかった。
アッシュもルークもローレライを解放し戻ってきた時に、問題を抱えて帰ってきた。
ルークは色がわからなくなっていた、唯一色がわかるのがアッシュだけ。だから、アッシュを探し色を見る。
アッシュは表情が無くなった。感情が顔に出ない。
二人とも、日常で生活するにはあまり問題なくとも、それが続けば支障をきたす。
ふたりですごす時間が増え、人を寄せ付けない時間が増えた。
アッシュを恐れるようになった使用人も、色の解らないルークに色の話をわざとする貴族も。
二人にはもう煩わしいだけ。
アッシュの感情など、顔をいちいち見なくてもルークは解ったし、アッシュもルークの唯一でいられる今の状態に余り不満は無い。
ただ、英雄と呼ばれる事さえなければ、二人で生きていく道を選ぶのに。
目立つ赤が邪魔をし、互い縛る。
求めるのは互いだけ、いとしいのもたがいだけ。
せかいなんていらない、色なんて(表情なんて)必要ないから。
どうかひっそりと愛し合わせて。
「どうした?」
無表情な顔に似つかわしくない優しい声に、頬が緩む。
「アッシュがいないから、探した」
その声に、彼は目を微かに細めると立ち上がる。
「どこにもいかねぇ、行くならてめぇを連れて行く」
あきれたのかそんな気持ちを多分に含ませて髪を乱暴に撫ぜられる。変な声を小さく出すとルークはアッシュに抱きついた。
目の前の赤を指に絡め、口付ける。少し固まっていたアッシュがそのままルークを抱きしめてきた。
「ルーク」
名を呼ばれ、ウンと返事をするとまた呼ばれる。それの繰り返しを続けていたら。落ち着かなかった感情が穏やかになってくるのがわかった。
アッシュもルークもローレライを解放し戻ってきた時に、問題を抱えて帰ってきた。
ルークは色がわからなくなっていた、唯一色がわかるのがアッシュだけ。だから、アッシュを探し色を見る。
アッシュは表情が無くなった。感情が顔に出ない。
二人とも、日常で生活するにはあまり問題なくとも、それが続けば支障をきたす。
ふたりですごす時間が増え、人を寄せ付けない時間が増えた。
アッシュを恐れるようになった使用人も、色の解らないルークに色の話をわざとする貴族も。
二人にはもう煩わしいだけ。
アッシュの感情など、顔をいちいち見なくてもルークは解ったし、アッシュもルークの唯一でいられる今の状態に余り不満は無い。
ただ、英雄と呼ばれる事さえなければ、二人で生きていく道を選ぶのに。
目立つ赤が邪魔をし、互い縛る。
求めるのは互いだけ、いとしいのもたがいだけ。
せかいなんていらない、色なんて(表情なんて)必要ないから。
どうかひっそりと愛し合わせて。
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