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TOA・ボーカロイド中心の二次創作です
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今まで忘れていたワケではありません。ただ書けなかっただけです!!
その間にボーカロイドにはまったりしていました。そのうちにボカロでも書くかもしれませんが、今はアビスを上げますよ。
記念すべきお披露目作は……おそらくアシュルクです。
ただし、アッシュさんがすごく変です。

それでも宜しければ続きからどうぞ。

+ + + + + + + + + +

 
 やっぱり何時もの貴方がいい
 
 グランコクマ宮殿の窓から雨空が見える。そんな当たり前の事が何だかぼやけて見える。
 その元凶は今も空を仰ぐ自分に跪いていた。
 周りを見渡せば、ソファーに横になりうなされているガイ。さすがに動揺が隠せないのか冷や汗をかいている顔色の悪いジェイド。
 アニスにいたっては、部屋の隅で蹲り頭を振りながら「ありえな……マジで……ホントにかんべんしてよ~」とぼやいている。
 ティアはと見れば何だか目付きが変だ。ジェイドと違い全身から冷や汗を流し鳥肌が浮かんでいる。
 一番変なのはナタリアだった。これの何処が、これの何処が微笑ましいのか分からないが先ほどから嬉しそうに笑っているのだ。
 
 
 ルークは叫びたい衝動を堪えて跪いている彼の肩を掴み、また同じ言葉を口にした。
「アッシュ、俺が悪かったから本っ気で反省してるから------部屋の中で素振りはもうやらないから……だからっ……もう勘弁してくれっ」
「何を言われているのですか? 貴女は何も悪くなどありません。------確かに部屋の中で素振りをしていらしたのは、褒められたことではありま
せんが……。それともその木刀が貴女の手を離れて私の頭に直撃したことですか? それでしたらお気になさらずに、貴女は活発で明るい方なの
ですか-------むしろ避けれなかった私に非があるのです。 ------お許しください、ルーク様」
 肩に置かれたルークの手をとりアッシュはその手に口付ける------恭しいその仕草は、正しく紳士が淑女にするものである。
 それをアッシュが常に屑だ、レプリカだと言い放つルークに対して行うというのが問題なのだ。
 まるで嫌がらせのようだが、アッシュの性格上その可能性はゼロに近い。
 初めこそ、その可能性を考えていた仲間達も時間の経過とともに一人、また一人と異常に気付き、止めようとしたものの一人、また一人と傍観
者に変わっていった。
 もはやアッシュを止めてルークを救う事の出来る勇者は此処には居なかった……。
 
 ------何なんだよ。一体、俺が何したってゆーんだ。
 確かに元は自分に非がある為に、ルークは我慢しているのだ。それでもそろそろ我慢も限界である。
 もはや嫌がらせのようなアッシュ。逃避している仲間たち。ルークは目眩を覚え始めていた。
 ------このまま倒れたら楽になるかも……。
 
 現実から逃避し始めたルークを現実に引き戻したのは、救いの女神ではなくて、アッシュだった。
「ぼんやりされて、どうされたのです?」
「何でもないよ!?」
「先ほどから顔色が優れませんが……。何処かお加減が悪いのでは?」
 悪いとしたら全ての元凶はアッシュだ。
 必死にそれを飲み込んだルークは努めて明るく答えた。
「へーき、へーき。問題ないから」
「ルーク様、貴女に嘘は似合わない……。どうか、本当のことを答えて下さい」
 問いながらもアッシュはルークの髪に口付けを落とし、そのまま流れるような仕草で肩に手を置いた。
 ルークは微かに震えている。
 アッシュはルークを労わるかのように優しく耳元に囁いた。
「ルーク様、貴女が何故憂えているのかこの私に、お教え願えませんか?」
 囁きながらもアッシュの手は肩から腰へ……。
「貴女の為ならば私はどんな事でもいたします。……貴女は私の光であり、唯一無二の----」
 囁くアッシュの唇がさらにルークに近くなり、その手が腰に回ろうとした瞬間。
「うわっー!?」
 悲鳴を上げてルークは慌ててその手を振りほどき逃げ出した。
 
「ああっ、ルーク様!?」
 アッシュの悲痛な叫びとその手を振りほどき、ルーク壁に背を預けアッシュと向かい合った。
「みみっ……、耳に……当たった」
 耳を押さえてルークは真っ赤になっている。何が当たったかなんて考えたくもない。一人でぎゃーぎゃー騒いでいるルークの元にアッシュが近
づこうとした瞬間、ルークの中の何かが切れた……。
 
「くっ、来るなー!?」
 叫びながら手に触れた物を次から次へとアッシュに投げつけるルーク。
 それを器用に避けながら、アッシュが近づいていく。
「ああ、やはり貴女はこれ位、活発の方がお似合いです。ですが、そのような事をしてお怪我をされたら------」
 などと、微笑みながら言っている。
 伸ばした手の先に何も投げられるものが無いルークは、必死に左右を見回している。
「ルーク様、やっと、お傍に------」
 探すのに必死だったルークの前に、呼びかける声音さえも甘いアッシュが辿り着く------。
 さらに焦るルークの手に何かが当たった。
 ルークはそれを見もせずに思いっきり振りかぶりアッシュの頭に叩き付けた。
 何か重いものが割れる音がして、アッシュが笑みを貼り付けたまま倒れこんだ。
「------あれ?」
「アッシュ!?」
 我に返った仲間達が慌てて駆けてくる。ルークの足元には砕けた壺の欠片と動かないアッシュ。
 それを見比べてルークはまた首を捻った。これって俺がやったのかなーなど考え、一人遅れて叫んだ。
 
 ティア達の治療かそれともアッシュが石頭だったのか、幸運にも脳震盪ですんだアッシュが目を覚ますと、何故かソファの上に寝かされていた
。そしてその傍には妙に神妙な顔付きのルーク達がいた。
「……何だ。どうしたんだ」
 何か起こったのか、と思い飛び起きたアッシュは何故か痛む頭を押さえて呻いた。
「大丈夫か? アッシュ」
 心配そうに顔を覗き込むルークの瞳を見た瞬間。室内で木刀を振り回すルークの手から木刀が飛んできた事を思い出した。
「この、劣化レプリカ! 何故、お前は室内でやってんだ!」
 がしっとルークの頭をがしっとつかんだアッシュが立ち上がる。さらにそのまま言い募ろうとしているアッシュを見ても、何故か回りは止める
ことも無く万歳三唱していた……。
「良かったー。元に戻ったんだな、アッシュ」
 怒鳴られているはずのルークも瞳に涙を浮かべて喜んでいる……。
 
 その後、ジェイドの口から説明を受けたアッシュがルークに猛烈な罵声を浴びせたが、ルークが嬉しそうに聞いていたため、途中から対応に困
って立ち尽くしている。
 そんなアッシュを見ている仲間達はアッシュが怒鳴る度に嬉しそうである。
 耐え切れなくなったのか、逃げるように部屋を出て行くアッシュの背にはどっと疲労の影が張り付いていた……。
 
 何故、アッシュが男性のルークを女性扱いしたのか? 何故、ルークだったのか? 
 それはおそらく最後まで本人にも分からずに謎のまま封印された……。 
 



後書き
ここまで読んで下さってありがとうございました。
ある日頭に舞い降りたアッシュさんです。意外と楽しく書けました。途中であまりの不気味さにPCに向かって笑っていました。

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