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TOA・ボーカロイド中心の二次創作です
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ジェイルクです。
一応シリアスを目指して書きました。
エルドランド突入近辺です。

+ + + + + + + + + +

 
 「俺、女だったら良かったのに……」
 シーツに顔を埋めたルークは髪を撫でるジェイドの温もりを感じながら零した。——その瞬間にルークは後悔した。
 髪を撫でるジェイドの手も、部屋の空気も静止した中で己の失言を責め、——こっそりとジェイドの様子を窺う怖いので目を合わせないように、慎重に……。
 ルークが時折、突拍子の無いことを言う子だと言うのは理解していた。
 そう、出会った当初はそれに呆れたり、怒ったり、見捨てたりもした。今はどうなのかと思えば、馬鹿な子ほど可愛いとは良く言ったもので相変わらずに呆れたり、怒ったりしながらも見守っているつもりだ……。
 少し状況を整理しよう。
 現在、我々がいるのはケテルブルクのホテルの一室。
 滞在の目的はカジノとスパである。シェリダン~ベルケント間の橋建設資金稼ぎとついでに休息を兼ねている。つい先ほどまでルークも皆に交じって勝った負けたと騒いで、スパを満喫していた。その後は食事を皆でして今に至る。

 別に問題ない行動だし熱も無い。少し無理をさせすぎたのだろうか?
 
 情事の名残が残る体を寄せ合いルークの髪をさらさらと撫でて、手触りを楽しんでいたジェイドはルークの呟きに完全に対応が出来なかった。
 「ごめん……変なこと言った。何でも無いから忘れて——」
 慌てた様子で起き上がり言い募るルークを遮って、ジェイドはルークを引き寄せながら続きを促した。
 「まったく……。忘れることは無理ですよ。——ですから、話してしまいなさい」
 

 ——ルークの話はホテルに着いた時にまで遡る。
 彼らがホテルに着いた時はフロントが大混雑しているところだった。
 順番待ちをガイに任せた一行はロビーで待つことにして、ルークはミュウと一緒にロビーを歩いていた。
 そこでルークはある女性と出会ったのだという。その女性はご主人が受付の列に並んでいるのだといい、双子の子供がミュウを追い掛け回しているのを呼び止めていた。その後すっかりその子供達と仲良くなったルークは一緒になって遊んでいた……。その後、ご主人がやって来てその家族は仲良くエレベーターに消えて行ったのだという。
 要領を得ないルークの説明にジェイドは困惑を隠せなかった。普通に考えれば、それぐらいの子供を連れた夫婦なら、仲が良いと思うし、第一にファブレ夫妻も仲が良いと思うのだが……。
 「……その人達さ、駆け落ちしてたんだって。それで、親の許しが出たから行くところだって。……俺がホントは許していなくて、行っても別れさせられたりするんじゃないのか? って聞いたんだ」
 「……」
 思い出す様に話すルークの髪をジェイドは撫でる。ルークは気持ちよさそうに目を細めている。
 「そしたらさ、……それでもいいって言うんだ。——好きなのは彼だけだからって、彼も同じだと思うから、どこへだって行けるんだって笑ってたんだ。——旦那の方もそう言うんだ。なら、また迎えに行くだけだって……」
 僅かにルークの瞳が潤んでいる。髪を撫でるジェイドの手に自分の手を重ね、続ける声が震えていた。
 「……俺はさ、消えていなくなるから……何も、ジェイドに残せないんだなって……」
 その後は声になる前に消えていく……。
 ジェイドは苦いものを感じた。ルークの言いたいことは分かるが、それは酷く、残酷なものであった。そして、それを咎めることはジェイドには、いや世界中の人間には出来ない。
 だけども、自分を思っての事ならなおさらに言わなくてはいけない事があった。
 「ルーク、その家族が幸せそうだったから、貴方は言っているのですね?」
 ルークの潤んだ瞳と合わせる。不思議そうな顔で頷くルークはやはり勘違いをしている。
 「それは、好きな人が隣にいるからなのでは? 私は、貴方との子供がいたとしても……貴方が居ないのであればごめんですよ」
 低く、苦い声でジェイドは気持ちを吐き出す。偽りの無い心情である。——ゼロかイチかでは無いのだから。そんな言葉をルークの口からは聞きたくは無かった。だが、言わせてしまったの自分なのだろう……。
 「ごめっ……、俺……やっぱりバカだな」
 「解っていますよ。そんな事は。——ああ、そうです。ルーク?」
 酷く傷付いた顔をルークはしている。ヘタをすれば自分も同じような顔をしているのかもしれない。
 ふと閃いたことがある。それを言えばルークはなんと思うのだろうか? だが、あまりにも酷い顔をしているルークを見ているのにジェイドは辛くなってきたのだ。
 「それでは、貴方を食べてしまいましょうか? 全て、消えてしまう前に……。そうすれば貴方は私の血肉となり、私の傍にいられますよ?」

 どうしますか? とルークの耳元に囁きながらジェイドが唇を首に這わせる。体が震える。
 ジェイドの提案も酷いものかもしれないが、ジェイドが自分の為にそこまで言ってくれる。その事実がルークには嬉しかった。
 だから、返事の代わりにジェイドの背に手を回し、抱きしめる。
 ジェイドもまた、返事の代わりのような愛撫で答える。
 静かな部屋にルークの喘ぎ声が響く。何度もジェイドの名を呼ルークの声、それに答えるジェイドの声が重なってゆく。


 ケテルブルクの夜はまだ、終わらない。


 
By瀬川唯


後書き
ごめんなさい。何が言いたいのか分からない話になってしまいました。
でも、書きたいことはすべて書いてあります。

一応駆け落ち家族もイメージが有ります。
 

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