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TOA・ボーカロイド中心の二次創作です
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プレゼントの中身は……から続いています。
二人が付き合いだして間もないクリスマス当日です。

+ + + + + + + + + +

聖なる夜に……


 深々と静寂と寒気に包まれた夜更けにルカは一人起きていた。
 柔らかく温められた自室でルカは黙々と動かしていた手を止めた。そのまま慎重にそれを目の高さに持ち上げて真剣な表情で裏表を確認した。
 満足気に笑みを浮かべたルカは丁寧な手付きでそれを畳み、シックな色合いの包装紙で包むと打って変わって真剣な表情でテーブルに何本ものリボンを並べて包みと見比べた。
 リボンを当てては戻してまた別のリボンを当てるを繰り返してルカは選び出したリボンで包みを飾る。
 慎重に細部を見てからルカは引き出しから取り出したカードを添えて柔らかく微笑んだ。

 


 

 クリスマス料理は品数が多い為にがくぽの家のキッチンも借りて作ることになっている。
 レンたちが中身の詰まった重い袋を両手に下げてがくぽの家の前に立つとチャイムを鳴らす前に内側から開いた。
 「おお、重かっただろう」
 レンたちの下げている袋とげんなりした顔を見てがくぽはレンたちを笑顔で出迎えた。
 「ルカは向こうで兄さんたちと一緒。残念だったね」
 微かに苦笑を浮かべたがくぽはリンとミクの手から袋を受け取り三人を奥へ誘う。
 キッチンではグミたちがインゲンの筋を取っていた。入ってきたレンたちを見てグミが首を傾げた。
 「あれ? ルカさんは来ないの?」
 来ないと告げるとグミはつまらなそうに足を揺らした。
 「お兄ちゃん、筋取ったよ」
 「ならば、次はニンジンの皮を剥いてくれ」
 ルカと一緒に何かをしたかったのだろうが、料理だけは止めた方がいい。確かグミもルカの料理の腕は知っているはずだ。
 「早く作って向こうの手伝いしよ」
 微妙な空気の中でミクがグミの前に置かれたニンジンに手を伸ばすと慌ててリンもがくぽの指示を仰ぐ。
 「がっくん、何やればいい?」
 「ならば、玉ねぎの皮むきを頼む」
 がくぽと一緒に肉の下拵えをレンは始めた。

 

 
 カイトが作る砂糖菓子にルカは目を輝かせて見入った。
 「素敵ですわ……とても綺麗」
 手の込んだ細工を褒められたカイトは嬉しそうに頬を緩める。
 「ありがとう……そう言ってくれるのはルカだけだよ」
 「……何よ?」
 「いえ……別に」
 含みのあるカイトにメイコは疑わしい目を向けていたが肩をすくめるとルカに向き直った。
 「プレゼント間に合った?」
 「はい、お姉様」
 「そう……なら、ちゃんと一人で渡すのよ?」
 この前の事もちゃんと謝るのよとメイコはルカに念を押すとカイトが口を挟んだ。
 「この前の元凶はメイコさんたちでしょう……顔合わせてくれないって気にしてたよ」
 言葉に詰まる二人にカイトは作業の手を止めぬまま続けた。
 「……言いたいことは分かるよね? 二人とも」
 神妙に頷く二人にカイトは出来立てのお菓子を二人に差し出して笑った。


 飾り付けられた室内に手分けして用意した料理が並んだ。
 「席だけど、クジでいいね?」
 はい、引いたとカイトは強引に皆にクジを引かせて席を決めた。
 「ほら、席着いて、グラス持って……いいかい? それでは……」
 『メリー・クリスマス!』
 微かに触れ合うガラスの音を合図に和やかに進んでいく。


 
 がくぽがルカに用意したプレゼントを開けると鮮やかな色彩が目に飛び込んできた。
 「これは……」
 がくぽは戸惑うルカの目の前で広げてみせた。
 「振袖だ。……以前、撮影の時に気に入ったようだったからな」
 「ルカの分も用意しないとって話していたらがくぽが用意させてくれって言ったんだ」
 「……さすがね」
 ルカに振袖を軽く羽織らせたメイコは感心したように頷いた。
 「いいなー」
 「ルカ……似合うよ」
 口々にリンとミクがルカを褒める。
 「うむ。よく似合う」
 がくぽが目を細めてルカを見つめるとルカは頬を染めた。
 「あ、あの……ありがとうございます」
 

 

 

 「がくぽさん……待ってください!」
 玄関を出たところでがくぽはルカに呼び止められた。慌てた様子のルカは手に包みを持っていた。
 パーティーが始まってからずっとルカが持っていたものでがくぽも気にはなっていたし、時折こちらを伺うルカと目が会い逸らされる事もあった。
 「あの……これ、クリスマスプレゼントです」
 恥ずかしげに顔を伏せた彼女ががくぽに包みを手渡してきた。がくぽは彼女の前で包みを開けると、中には紫色を基調にした色合いと編み方の異なるモチーフつなぎで編まれたマフラーが入っていた。
 「…………」
 がくぽがルカに目をやると微かに不安げな目と合った。彼女の前でがくぽはマフラーを首に巻いた。
 肌触りのよさと温かさにがくぽは微笑みを浮かべてルカに礼を言うと彼女は花が綻ぶように微笑んだ。
 「あ、あの……先日は失礼致しましたわ。……すみませんでした」
 ルカはがくぽに頭を下げて詫びるとがくぽに近づき体を寄せる伸びをするように彼の顔に顔を近づけた。
 唇に限りなく近い場所に口付ける。
 体を離しそうに彼女を抱き竦めてがくぽは彼女に口付けた。
 彼女と同じように唇に限りなく近い場所に……。
 名残惜しげに唇を離してもがくぽはルカを抱く手を緩めなかった。
 静寂が二人を包む。吐く息が白く揺れる。
 ルカの手ががくぽの背に回されるとがくぽは彼女を強く抱く。
 「……くしゅんっ」
 冷たい風が吹きルカが体を震わせてくしゃみを零す。
 一度寒さを自覚した体はなかなかくしゃみが止まらずにルカは寒さに震えながら困った顔をした。
 「もう、中に入られるがいい。……風邪を引かれるぞ」
 ルカを促してがくぽは玄関の扉を開く。
 「……おやすみなさい。また……」
 「おやすみ……また明日」
 微笑みを交わしあいがくぽとルカは別れた。
 ルカと別れたがくぽは口付けされた箇所を手で押さえて立ち尽くしていた。


後書き
ほのぼのとイチャイチャを目指したのですが……。
それらしい雰囲気になったかな~と首をひねる話になってしまいました。
By 瀬川 唯
 

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