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TOA・ボーカロイド中心の二次創作です
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 気がついたら10月も中ですね。
 なかなか進まないクロスオーバーではなくて、今回はアビスです。
 アシュルクですが、甘くもなく、ひたすら暗く、残酷です。
 

 それでも良い方は続きからどうぞ

+ + + + + + + + + +


 

 クロい月




 その部屋の窓は空いていた。

 その部屋は恐ろしく殺風景だった。寝台が一つ。後は寝台横に花が活けられた花瓶と収納棚が一つ。それ以外は何も無い。
 ふと風が流れこみカーテンを揺らす。
 扉を開けた女性は揺れるカーテンを訝しげに見つめ、寝台に目を遣り声を上げた。
 慌てて部屋に入り風に揺れるカーテンを開け、開いていた窓から顔を出し見渡すが何も見つけることが出来ずに身を翻す。
 

 

 久しぶりの再会にルークは目を見開き震えていた。その口が声にならない声で動いたのを見た。
 『どうして……ここに』
 ああ、歓迎されていない。
 一歩寄れば、二歩遠のく。逃げる彼を捕らえれば逃げること無く腕の中。
 違和感。鋭い痛みに胸元を見れば自分の胸にナイフ。柄を握るルーク。
 目の前が絶望に染まる。ああ、ルークはここまでアイツらに汚染されてしまったのか。
 ならば、こみ上げる怒りのままにアッシュは剣を振るう。
 自分以外を映す瞳。自分以外に触れる腕。自分から逃げる足。
 めちゃくちゃに剣を振るう。しかしルークは逃げずにその剣を受ける。その度に床や天井にまで血が飛ぶ。
 荒く息を乱しながらアッシュは剣を振るう。その度に胸から血が零れる。
 めちゃくちゃな軌跡に沿ってルークの体が揺れる。その度に室内に篭る血の匂いが濃くなっていく。
 肉を断つ音と、血が滴る音。微かに響く互いの呼吸。
 ふと、剣を振るうアッシュの手が止まった。
 剣を受けていたルークの瞳からは透明な雫が流れ落ちている。幾筋も頬を濡らしていた。
 痛みに泣いているのではない。ルークの目はそれでも逸らすことはなくアッシュを見ていた。
 「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」
 アッシュに切られながらルークはずっと謝っていたのだ。
 ルークの名をアッシュが呼ぶと、ルークの体が傾いだ。
 そのまま倒れそうになるルークを咄嗟に抱き留め、名を呼ぶ。何度も。何度も。
 ふと呼びかけに応えるようにルークが目を開ける。
 「……アッシュが……来たら、こうしようって……決めてたんだ」
 アッシュが壊れたのは自分のせいだから、囁くようにか細い声で苦しげに紡ぐ。
 ルークの手が抜け落ちた血に濡れたナイフを拾う。震える切先がアッシュにまた向けられる。
 しかし、ルークにはナイフを支えることも難しく、うまくアッシュに向けることが出来ない。
 「……ああ、やっぱり……俺はダメだな」
 辛そうにそれでも微笑むルークの手をアッシュが掴む。
 そしてそのまま導くように心臓の上に切先を誘う。
 「ルーク……一緒に居てくれるか?」
 微かに頷くルークを愛しそうに抱きしめ口付ける。
 そして、重なった二つの手が動いた。

 


 一報を受けたジェイドがルークの元に駆けつけた時には全てが終わっていた。
 折り重なり動くことのない二人。どこか幸せそうに微笑んでいるようにも見える。
 苦い溜息を吐き、彼は部下を報告に走らせる。
 還ってきたそれがきっかけとなったのかもしれないがいつの間にか狂っていたのだ。
 完全同位体故のものか、それとも……。
 アッシュが先か、ルークが先か、それは定かではない。
 だが、それも全て分かることはないだろう。
 二人の死。それが今の全てだ。


 


後書き
思いついたままに書いただけです。
途中から書いてる本人も意味が分からなくなってきましたが、一応まとめることが出来ました。
気づいたらルークの出番が増えました。予定ではアッシュとジェイドのみでしたが……。
というか、正しくはルークが一生懸命に動き回った結果がこの作品です。
更に言い訳するとわたしは甘甘も好きですし、アッシュも、ルークも好きです。
ただ、浮かばないのです。甘甘のネタが……浮かんだら書きます。
By 瀬川 唯

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