寒くなってきましたね。だから腰とか関節が痛くなるのです。
それでも暑いよりも寒いほうがわたしは好きです。
今回はボカロです。
ぽルカですが、グミが主役です。
テーマはひだまりでのんびりです。
それではどうぞ。
うたたね
その日、グミは休みを満喫していた。
朝寝坊から始まり、昼過ぎまでパジャマでゴロゴロと寛いでいた。もっとも、昼ご飯の時に兄であるがくぽ一人と油断していたグミはパジャマ姿を兄の恋人に見られてしまい、慌てて着替に自室にとって返すはめにはなった。
しかし、兄と恋人と共に食卓を囲み、そしてデザートに恋人が作ってきたというプリンを食べたグミは後片付けを進んで引き受けた。
グミが食器を洗っていると電話の呼び出し音が鳴り出した。
洗い物で手が離せないグミは電話を兄に任せることにした。
「お兄ちゃん、出てよー」
しかし呼びかけても電話は鳴り止まず、兄が出る様子もない。鳴り止まない電話にグミは文句を言いながら足音も荒く電話に向かう。
『あ、やっと出た。あのね……』
グミが電話に出た瞬間に電話口からマスターが一方的に用件を告げ、グミが何か言うまもなく切れた。
しばらく切れた受話器を眺めたままマスターの言葉を反芻する。
マスターが兄を使って作っていた曲。収録を終えたマスターが編集中にまたもや消えてしまったらしい。幸いにも被害は兄のみという。
その為にもう一度、兄に今から来いという。もう一度収録をしたいということだ。
そこまで考えてグミは困った。
つまり……これは、恋人と部屋に入ったきり電話も無視している兄に自分が伝えないといけない。
取り込み中だったら……どうしよう。
そういうことに興味はあるが、だからと言って兄の情事を進んで覗く趣味は無い。
でも今回は……。
危ない方向に進みそうな思考を頭を振って追い払う。
グミは一つ、深呼吸をしてがくぽの部屋を目指す。
様子を見てヤバそうだったら……マスターに断ろう。
きっと面白い言い訳したらマスターも笑って許してくれるだろうし。素直にお兄ちゃんは恋人とイチャイチャしてるから行けませんとは……言い難いしね。それで、お兄ちゃんには夜にでも話せばいいしね。
目指す部屋の前まで忍び足で来たグミは扉の前に膝を付き息を殺し様子を伺う。
「グミ、いかがした。用があるなら入ってきてくれ」
突然の兄の声にグミはいたずらが見つかった子供のように立ち上がる。そして、続く兄の「今、取り込み中故に……」という言葉に取り込み中って何!? と慌てながらもイイと言うなら見てやるとばかりに扉を開けた。
扉を開けた先でグミが目にしたものは——。
ひだまりの中でこちらを見てくる兄と兄の膝を枕にすやすやと寝入っている恋人のルカの姿。
兄の膝で気持ちよさそうに眠るルカ。その安心しきった顔。膝枕をしたままの兄の手は彼女の髪や背を撫でている。時折彼女に向ける優しい眼差し。
見ているこちらが恥ずかしくなるような光景だった。気のせいか二人の周りだけ光のエフェクトがある気もしてくる。
「グミ?」
沈黙したままのグミにがくぽが訝しげに名を呼ぶ。
「……あっ、マスターが……」
我に帰ったグミが慌てて用件を伝えると兄は僅かに眉を顰める。小声で何かを言っている。
おそらくマスターの悪口だろう。
「……ならば行かぬといかんな」
嘆息する兄の目は未だに気持よさそうに寝ている恋人。小さな声を出し寝返る。
ルカが起きる気配は無い。ルカの顔に掛かる髪を兄の指が払う。
「行くなら起こさないとね」
「分かっておる」
それでもがくぽの手は変わらずにルカの髪を撫でている。
起こそうと思っても安らかな寝顔で起こせないが、マスターの呼び出しを無視することも出来ない。と兄の顔に書いてある。
グミはルカの寝顔と兄の姿に微笑みを浮かべてきびすを返す。
「マスターに今日はお兄ちゃん行けませんって言ってくるね」
「済まない」
安堵を含む兄の声に嬉しくなったグミは続ける。
「だってルカさん幸せそうなんだもん。起こせないよね~」
幸せそうなルカの寝顔を思い出し、グミは弾んだ足取りで電話に向かう。
さて、言い訳は何にしようかな? それとも膝枕中です。と言ってしまおうか?
後書き
ただ、平和で幸せな話を書きたかったのです。
何故、グミ視点かは簡単ですルカは寝ているし、がくぽもただ髪を撫でているだけ……。
進まないからです。ただ延々甘甘しているだけになる危険性もあるので。
この話が一応ボーカロイド設定の話です。初の。
またいろいろ書いていきますのでお付き合い下さい。