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TOA・ボーカロイド中心の二次創作です
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クリスマス話です。あたたかいひかりの設定です。

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チキンに下味をつけて置く、別に聖誕祭だからとチキンを食べる必要はない。普段から食卓に上がり易いチキンよりも手間も暇もかかるローストポークやビーフを出す家の方が圧倒的に多いだろう。
だか、晩餐に出すならカリっとした皮の旨味を引き出したチキンがいいと、昨日最愛の子供からの要望があった。
ローストチキンやターキーにしようかと思ったが、予約分で丸一羽分手に入れることが出来ず、困り果てていたところにこの家の大家であるジェイドが手に入れて帰ってきてきた鶏の腿肉。(ちなみにポークを出すなと要望を出したのはこの40間近の男だ)



これ幸いと調理に取り掛かったのだ。



「陛下の名前を出したら、肉屋が冷凍庫から出してきたんですよ」



アッシュの横でマッシュポテトを作るジェイドが笑みを崩さず、手に入れた時の様子を話している。
「それでか、俺が行った時には無いの一点張りだったんだがな。あの店主」
「女将さんは居なかったんですか? アッシュ。彼女は貴方のファンでしょう」
「生憎、配達に行っていた」



肩を竦めて見せるアッシュにジェイドも堪えられず声を出して笑い出す、グランコクマにある肉屋の夫妻は仲がいい事でも有名で、だんなでもある店主はひどい嫉妬焼きでもある。



突然、ジェイドの屋敷に暮らしだしたミステリアスなアルビノの青年と朱色の髪の愛らしい少年は、噂話が大好きなご夫人達の話題になっていた。
一度はお目にかからなければいけないと、何とか二人を見ようと一時は屋敷の周りにも人がやってきた。そんな人達を一喝し、何かと世話を焼いてくれるたのが肉屋の女将だ。




彼女がアッシュやルークを気にかける理由は、死んだ一人息子が生きていればアッシュくらいの年齢だった事とルークの年齢が死んだ息子の享年と同じだったからだ。
だからこそ、親心が刺激されたのだと一度話をしてくれた。



しかし、そんな彼女のささやかな願いでもある息子の成長お見守り、それに伴う心配をしたかったと言うものは夫である店主には今一理解できない様子で、何かと買い物に来るアッシュに敵愾心を燃やしている。まあ、アッシュ自身もアルビノになった影響で野外ではフードを被っていたりと日に当たらない扮装で歩き回る為に余計に妻が心配なのだろう。



「なあ、ジェイド」
「駄目ですよ、日に当たって倒れたらどうするんです? 貴方が倒れたら、遊びに行けるまで回復したルークが寝込みます」
「……まだ何も言ってねぇだろ」



憮然とした顔付きでポタージュスープに生クリームを投入する様子から見ると、間違いなく図星だろう。
「ポテト出来ましたよ」
「ああ、それにこれも入れておいてくれ」



アッシュが差し出してきたものは茹でたニンジンのペーストだった。確かに入れたら鮮やかなオレンジ色になるだろう。しかしこれは……。

「ルーの好き嫌いは多すぎるからな、俺も食べるから……」
「ルークも食べるようにと?」
それに頷くとアッシュは再び料理を再開した。

 

 

 





並べられた料理と、ブッシュドノエル。水差しにコップと用意していたアッシュの動きが止まる。研究資料をまとめていたジェイドも同じ様に動きを止める。

「遅い」
「遅いですね」

理由は1つ。彼らにとって大切な存在・ルークが遊びに行ったまま帰ってこないからだ。

先ほどから落ち着きの無くなっていたアッシュはジェイドの同意を聞き益々そわそわし始める。

その時……

「ただいま~!! 兄さまぁ、ジェイド! ピオ君来たよ~」
「よお!久しぶりだな~アッシュ。きてんなら顔出せ、俺は皇帝だろ」
「「陛下……」」
なんでいる、そんな沈黙が流れたのは仕方が無いここに居ていい人間ではない。

「晩餐会は、どうなさったんですか?」
「酒飲み過ぎたつって出てきた」
「馬鹿ですか貴方は」
「なんだよ、今日は午前勤でとっとと帰ったくせに、皇帝の警備はどうした」
「他がやりますよ、他が」

そんなやり取りを続ける幼馴染二人を放っておき、アッシュはルークにこんこんと説教なんかをしていた。
「遅くなるなと言っただろう。大体、世の中物騒なんだ。いきなり知らない怪しい男を家に連れてくるなんて……何か有ったらどうする? あんなにあからさまに怪しいのに、ピオ君なんて呼ぶのも、兄さまは関心しないな」

なんだか言ってる事が不敬罪寸前だか、本人は気にせずに真面目に続ける。あまりに内容がひどいため最終的にはピオニーが本気で拗ねだし始めるのだが……。

「ごめんなさい……。でも、兄さまとジェイドにプレゼントって思って。公園でみんな言ってたもん。ツリーの下にプレゼント置いて置くんだって」
みんなとは公園にくる子供だろう。
「でも、お金足りなくて。困ってたらピオ君が」
「似顔絵頑張って描けば、喜んで受け取ると思うぜって言ったんだよ。お前等がグランコクマに来てんのは知ってたしな」
「何時!?」
ジェイドの声が詰問の響きを帯びても特に気にもせず……前に抜け出して街歩いてたら三人で買い物かなんかで歩いてたろと続けられ、挙句には腹減ったんだ飯にしようと押し切られた形になったのだった。

ちなみに、その後ルークとアッシュは揃ってニンジンを渋い顔で食べ、ジェイドはピオニーが持ってきたワインを飲んだりとのんびり過ごし。ルークは寝静まってからプレゼントとして渡された似顔絵を眺めていた。

ルークも貰ったプレゼント、アッシュからのあたたかいセーター(手編みなのが購入したのか作ったのかは不明)とジェイドに貰った絵本とピオニーからのぶうさぎのぬいぐるみに囲まれてしあわせそうに眠ったのだった。
 

おしまい

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