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「テルさん、こんにちは」
「ああ、がくぽくん、いらっしゃ……」
キヨテルはしまったと口を塞いだ。
「……くんか、小学生以来かな」
どこか遠い目をしている男性にキヨテルは謝罪した。
「すみませんでした、がくぽさん。ちょっと……知り合いに同じ名前の方がいて……」
ぶほっとこちらをうかがっていたミキが吹き出したのを横目でキヨテルは睨みつけた。
「いるんですか!? どんな!?」
がくぽの剣幕にキヨテルは後ずさりした。あまりに真剣な顔で聞くがくぽに犬ですとは言えずにキヨテルは言葉を濁す。
「ええ、まあ。……頭が良くて、真面目で手のかからないいい子(犬)ですよ」
「まだ子供なのか……」
感慨深げに頷くがくぽにミキは腹を抱えて笑っている。一人笑うことが出来ないキヨテルはただアルバイトを睨みつけた。
「それで、がくぽさん。ご用件は?」
「キヨさん、こんにちは」
「ああ、ルカちゃん、いらっしゃ……」
キヨテルはしまったと口を塞いだ。
「やっぱり、貴様もか!! ルカは渡さんぞ!!」
キヨテルはあっという間にがくぽに組み敷かれた。ルカの制止する声が響く。
「がくぽ、ダメでしょう。ごめんなさい、キヨさん」
「あっいえ、こちらこそ失礼しました……ルカさん。知り合いに同じ名前の方がいて……」
「気にしてませんよ。今もたまにそう呼ばれますから……それに珍しい名前ではないですしね」
そうですねとキヨテルは乾いた笑みを浮かべた。
近くの棚の商品整理をしているミキの手が止まったまま微かに肩が震えている。
「そういえば、なぜがくぽくんなんですか?」
「がくぽの方ががくとかよりも可愛いからです!!」
ルカの答えにキヨテルは天を仰ぐ。
物が落ちる音がして笑い声が密かに響く。
笑っているミキを見てルカは不思議そうに首を傾げていた。
「変なこと聞いてすみませんでした」
「いえ、別に。……あっそれともがくぽって子いるんですか?」
「ええ、まあ」
うわっと嬉しそうにルカが頷く。
「いい子かな?」
変な方向に進みそうになる流れをキヨテルは無理矢理に戻した。
「それでルカさん。ご用件は?」
ルカの用事が済むまでにがくぽは低く唸りキヨテルから視線を外さずにルカから離れることは無かった。
後書き
意味は無い。ただ書いてる方が混乱してくるだけなのでそれを店長にやってもらいました。
By 瀬川 唯
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