焦がれて求めるを書いていたときにツイッターで呟いた「がくぽは出番まで全裸待機している気がしてきた」というところから浮かんだものです。半裸編と全裸編。全裸は完璧なギャグになりそうです。
今回は半裸編。
雨宿りにがくぽの家を訪れたルカです
今回は半裸編。
雨宿りにがくぽの家を訪れたルカです
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恋人のがくぽとデートしていたルカは突然の大雨に初めて彼の家を訪れた。
雨が凌げるところまで入ってがくぽは息をつき、ルカが濡れないように被せた自分の上着を取った。
「大丈夫?」
「わたしは大丈夫です。けど、がくぽさんが……」
ルカはハンカチを手にすると伸び上がりがくぽの顔を拭くが、頭からずぶ濡れになっているがくぽをハンカチ一枚では拭ききれずはずもなく、あっという間に濡れてしまったハンカチを手にルカは困ったように濡れたがくぽとハンカチを見る。
「……部屋に行けば着替えもあるから大丈夫。……雨が止んだら駅まで送ってくよ」
眉を寄せて口を微かに尖らしたルカの仕草にがくぽは抱き締めたい衝動をぐっと堪えてルカに手を伸ばして止めた。
ぽたぽたと袖や髪から水滴が滴り落ちて、濡れて服が肌に貼り付くまでに濡れているのだから、自分がルカの髪に触ったら無事だった彼女まで濡れてしまう。
だから、がくぽはルカを促すように声をかけてエレベーターに向かった。
部屋についたがくぽはルカに断ってから洗面所に入った。
確か、朝脱いだ服がまだ洗濯してないからその服を着ればいい。
がくぽは濡れて貼り付く服に苦労しながら脱いでいった。
初めて来た恋人の部屋を興味深そうに見ているルカはがくぽの姿を見て側に寄った。
上半身裸のがくぽに動じた様子もなく心配そうに聞いてきた。
「大丈夫ですか?」
「へいき、へいき」
笑って答えるがくぽに安心した表情で息をつくルカを少し意外そうにがくぽは見ていた。
おっとりとした物腰と清純そうな雰囲気と違い男の裸を見慣れているようだ。
それに気付いたがくぽは黙ってしまった自分の顔を見上げてくるルカに苛立ちを感じて無理矢理に唇を重ねるとその場に押し倒した。
「きゃ! がくぽさんっ……何を!?」
いきなり押し倒されたルカが顔を赤くしてがくぽを押し返そうと抗う。
それさえもがくぽの苛立ちを増長させて歯止めを失わせた。
がくぽが誤解に気付いたのは身体を繋げてからだった。
「つまり……ルカのお兄さんはいつも家では全裸なの?」
「そうです! だから、男の人の裸は見慣れているんです!」
腕を組みむくれた表情でがくぽを睨みつけて語るルカの目が赤く微かに潤んでいた。
恋人に疑われた事も、いきなり抱かれた事も何もかもがショックだったのだ。
「ごめん!! ホントにごめん!」
あー、もう俺、バカだー。ルカに必死に謝ってがくぽは項垂れた。
勝手に早とちりしてこんな事をしでかすなんて……。
はぁと深く溜息を漏らしては自分を伺い口を開きかけては何も言えずに項垂れるを繰り返しているがくぽの姿にルカはすこしだけ笑みを見せた。
そして、気になっていた事を尋ねた。
「……がくぽさん、男の人って、家では皆さん裸では無いのですか?」
違うよと一言だけ発してがくぽは頭を抱えた。
家に帰ると兄のカイトが夕食の支度をしていたがルカが入ってきたのに気付き笑顔を見せる。
「ルカ、おかえり~。まだ後でもいいよね?」
ただいまと返してルカは兄の身体をまじまじと見た。
「……やっぱり」
不審そうに首を傾げて名を呼ぶ兄に何でもないと笑うとルカは荷物を置きに自室に向かった。
自室に入り扉に背を預けるようにしゃがみこむと微かに痛みが走った。
眉を寄せてルカは思い返す。
もしかしてと思った自分の推察はやはり正しかった。
「……お兄ちゃんよりもがくぽさんの方がおっきい……」
色々と思い出してしまって赤くなった頬をルカは手で押さえてどうしようか悩む。
帰りの電車の中で携帯に届いたメールは今日の謝罪と共に次の約束。
ルカに任せると続けるがくぽにまだ返事をしていない。
予定は無いけども顔を合わせるのが恥ずかしくて、躊躇ってしまう。
すぐに返事はなくてもいいと言ってくれる彼に甘えて、しばらくどうするか考えよう。
躊躇っていてもルカの答えは決まっている。
後書き
半裸ながくぽさん編でした。
このがくぽさんは普段から半裸か、全裸でしょうwww
by 瀬川 唯
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