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TOA・ボーカロイド中心の二次創作です
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いつもしっかりしているルカがうちの設定ですが……ホワホワして頼りなくて天然なルカもいいのでは?と考えてしまったところで終りです。

後からは天然ルカがどんな子かと考えて、それならがくぽは?と広がっていきました。

そんなわけで今回の話はうちの子設定ではありません。

二人暮らしをしている方向音痴でドジでふわふわしているルカとそんな彼女に振舞わされているがくぽです。
まだ、恋愛に発展してなく、ただ、なんとなくまあいいかと過ごしている二人です。
よろしければ追記よりどうぞ

+ + + + + + + + + +

ふわふわり

 収録を終えたがくぽが楽屋に戻り一息ついた時、携帯が着信を告げた。
 相手を確認したがくぽは何とも言えない表情で出る。
 「はい、巡音?」
 「神威~。迷っちゃいました~」
 案の定の答えに微かに嘆息したがくぽはルカから詳しい場所を聞き出していく。
 「すぐ行くから待ってろ」
 情け無い声を出すルカを宥めながらがくぽは上着に手を伸ばす。
 



 「がくぽー。皆で飲みに行かない?」
 呑気に手を振って来るカイトに短く断りをいれてがくぽは足早にスタジオを後にする。




 助けを求めてきたルカの居場所は家からも、最後の仕事場からも遠く、連結しまくったあげくに乗り換えが複雑怪奇になってしまった駅構内にあった。
 「まーまー、いいじゃん、いいじゃん」
 「あのっ、だから……」
 ちゃらちゃらした軽そうな男に手を取られて何処かに連れて行かれそうになっているルカを見つけたがくぽは剣呑に目を細めた。
 「巡音」
 ルカの手を掴んでいる男の手を引き剥がしてがくぽは困った表情したルカを呼ぶ。
 「……神威」
 がくぽを見たルカは安堵が滲む声と表情を向けてきた。
 「……連れに何か用?」
 がくぽが男の手を軽く捻り睨みつけると男は情けない声を出して喚く。
 微かに頭痛を覚えてがくぽは息を吐くと男を解放した。一目散に離れていく男の姿が視界から消えるまでがくぽは睨んでいた。



 「……神威?」
 険しい顔をして黙り込んでいるがくぽの服をルカが軽く引っ張り名を呼ぶ。
 「気を付けろって言ってるだろ」
 大体、何でこんな場所にいるんだ。
 続くがくぽの説教に俯くルカは手にした荷物を持ち替えた。
 「だって……どうしても買いたかったんです」
 彼女が大事そうに持っていたのは日本酒の瓶だ。
 がくぽの視線に気付いたのか彼女はよく見えるように瓶を持ち直した。
 その銘柄に覚えがある。最近、彼女の不注意で開けたばかりで割れてしまった日本酒だ。
 ルカがドジで、不注意で、そそっかしい事をがくぽはイヤというほど彼女が来て早々に教えられた。
 「それを買いに? 気にしてないって……」
 「だって……お父さんから貰ったって言ってたし、気にいっていたみたいだったし……」
 ポツポツと話すルカの目ががくぽから外れて俯く彼女の語尾は微かに震えている。
 参ったと深く息を吐いたがくぽはルカに手を伸ばした。
 「分かった。……こっち、寄越せ」
 「あっ!」
 俯く彼女の手から酒瓶を奪うとがくぽは楽譜しか入っていない自分の鞄を彼女に押し付けた。
 「割れ物ならなおさら、巡音には任せられない」
 不満げな表情をする彼女を小突くとがくぽは空いた手で華奢な彼女の手と繋いだ。
 そのまま歩き出したがくぽに釣られてルカも歩き出す。
 



 「巡音はもう少し、しっかりする! スキがあり過ぎるんだよ……シャンとする!」
 後から来た人とぶつかりそうになったルカを庇ったがくぽは先程男に連れていかれそうになっていた彼女を思い出してイライラと叱りつけて背を叩く。
 「はい!」
 がくぽの言葉にルカは慌てて背筋を伸ばして顔を引き締めた。
 その姿に小さく吹き出したがくぽは繋いだ手を離してルカの額を指で弾く。
 「ばかか。……俺がいない時の話だ」
 そのままポケットから電子乗車券を取り出して改札を抜ける。
 がくぽに遅れて改札を抜けてきたルカが笑みを浮かべた。
 「それって、神威の傍に入れば大丈夫って事ですね」
 嬉しそうにがくぽの腕に自分の腕を絡めて笑うルカ。
 がくぽは呆気に取られてルカの、緩く、ふわふわとした笑顔を見下ろす。
 誰かの世話も、振り回されるのもゴメンだとがくぽはずっと考えていた。
 でも、ルカが来てからは彼女に振り回されてばかりで……だが、それでも彼女のその笑顔を見るたびにまあいいかと思うのだ。
 「……神威?」
 黙りこんだがくぽに不思議そうに彼女が首を傾げる。どこまでも素直に自分を映す空色に、ふわふわとした笑顔で……。
 だから、今回もまあいいかと深く息を吐き出したがくぽは彼女に笑いかけてホームに向かった。


後書き
神威、巡音呼びは天然ルカを考えた時に一番最初に浮かびました。
マスターに頼むぞと言われているから仕方なくフォローしているうちに好きになり、だけども互いに無自覚な想いに気づくこと無くただなんとなく一緒にいる……という感じですね。
by 瀬川 唯

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