ルークは宿屋の硬いベットに身を横たえると深く息を吐き出した。
どっと一日の疲れが溢れてくるようだ、ザオ遺跡へは行く予定がないと言うのにイオンの救出のために行軍を遅らせてしまった事が不満だった。
(兵を向わせるつったのに)
そもそも、親善大使としての任命を受けたのは自分であり、最終的な決定権も自分が下すものだと言うのに……。あの軍人も使用人も理解しているのだろうか?
「ナタリアもついて来るなって行ったのによ。……どう思う?アッシュ」
ルークが視線を向け、言葉をかけた先に深紅の髪の青年が立っていた。先程彼が入ってきた窓からは砂漠の冷気と冷たい月明かりが入りこんできている。
「どうとは?}
「今日の事だよ。俺は兵を向わせて導師の御身の事は任せておけば言いといいったら……散々なじられたぞ。お前と同じ神託の盾に」
「それは、申し訳ありません!同じ軍に属する身として謝罪いたします」
アッシュと呼ばれたルークにそっくりの顔立ちの青年はベットにだらしなく寝そべるルークに対し跪き頭を垂れる。
そんな彼にルークはすばやく身体を起こし、その頭を掌で押さえつけた。ルークの手の力によりアッシュの顔が床にこすり付けられる。
「話は途中だ、遮るなよ」
「も、申し訳ありません……ルーク様」
「しかも、和平の使者とやらはマルクトの道中から不敬をしやがるし……ガイは平然と俺を前線に出したぞ?挙句は叔父上の命を無視し、髭を泳がせる為にした会話の内容を使って脅迫まがいの事を王女がしてきた!」
矢継ぎ早に息継ぎ無しでルークが溜まっていた鬱憤を吐き捨てる。
怒りに全身を震わせるその姿が月光に照らされている様は美しいとしかたとえようが無い。
「キムラスカの王族は他国の軍人や貴族にないがしろにされていいものか?王女が王に任命された大使を侮辱した挙句に亡命幇助をするのか!!ルーク・フォン・ファブレはその程度の存在か!?」
涙声の叫びに堪えきれず顔を上げると、自分よりも色素の薄い緑眼からは透明な雫が溢れ出ていた。怒りと屈辱で涙を流すのは、その尊厳を酷く傷つけられたからだ。
アッシュの頭から手をどけ、ルークは自身の胸元に手をあてる。
「俺達はその程度か?」
細かく震えるその身体を、思わず強く抱きしめる。
ヴァンの動向を連絡するために定期的に会っているが、プライドの高い主君は甘やかされたり過度なスキンシップは酷く嫌う。アッシュが想いを込めて触れる時ですら、気が乗らなければ手酷い拒絶を受ける。
「あっしゅ……『俺達は』その程度……なのか?」
背中に回されるその手の感触に、酩酊と切なさが同時に襲う。
こんなにも幼い心を痛めている。
「いいえ、いいえ!ルーク様はどんな方よりも王族としての威厳と誇りをお持ちです!それはこのアッシュ。誰よりも理解しております!御身のお側に居りましたら、そんな不敬……決して許しはいたいしません!」
ルークの肩に顔を埋め、アッシュは胸中に渦巻く怒りを噛み締める。
殺す為に忍び込んだ屋敷で対峙したレプリカが全てを知り、理解していた。生まれた時にはもう自我があり、目や耳から得られる全てを理解していたのだと言う。
そして被験者に会うまでのわずか4年で貪欲に知識を吸収し、自身が何なのかすら調べ上げていた。
その邂逅から暫らく後、アッシュは護るべき主君として自身のレプリカに忠誠を誓った。
葛藤が無かったわけではない、それでも……失いたくない気持ちが強かった。
「ルーク様、以前にも申し上げましたが……私にとって護るという形を態度で示すのに一番近いのが騎士です。貴方は私が護ります。預言からも人間からも」
身体を離し、ルークのむき出しの爪先に口付ける。
洗っていないとルークが足を取り返そうとする事を許さず、そのまま爪先を口に含んだ。
「あ……」
ルークが微かに喘ぐ。再会してから4年、その間に肉の契りも交わしてきた。
ルークの反応を上目遣いで見詰めながらアッシュはアイスキャンディを舐るように足に舌を這わせていく。離せと小さく命じる声にくつりと笑んで見せるだけで、それ以上の抵抗は無かった。ベットに乗り上げ、上から覆いかぶさり首筋を啄ばんでいく。肌に痕を残せないのが残念だ。大き目のボタンを外し、腹部を晒すインナーの中に掌を滑り込ませる。指先が突起物に触れた時にルークは細い吐息を吐き出した、その中に隠しきれない情欲が混じる。
指先で捏ねる様に弄り、片手でインナーをたくし上げる。露わになる白い肌が音素灯に照らされ暗闇に浮かび上がる。そのまま惹かれるように反対の突起に口付け、歯を立て吸い上げ舌先で弄ぶ。
ルークの背中の下に腕を差し入れ、身体が浮き上がるほど強く抱きしめる。そのまま胸から腹部にかけて舌先でなぞる様に愛撫を施す。
「つぅ……」
甘い声を堪え切れないといった様子でルークが喉を仰け反らせ、その動きにあわせて朱金の長い髪が弼の効いたシーツの上に流れて乱れる。仰け反らされた白い喉に噛み付きたい衝動を堪え、ズボンの上から反応し始めた箇所を撫で上げ、背に回した手でわき腹をなぞる。
「あぅっ」
ぴくんと身体が引き攣り、肌が桃色に染まる様は形容しがたい淫靡さを孕む。ジッパーを下ろし、指を潜りこませると下着の上からルークのものをなぞり形を確かめていく。それだけで蜜を零し始めたのか指先が僅かに濡れる。
「あ、アッシュ!焦らすな」
「どうしてです?気持ち良いでしょう?」
耳元でわざと息を吹きかけて囁くと、その感触すら刺激に変わるのか微かに震える。
「少し……形が変わりましたね。ルーク様」
「ば……か……」
羞恥に顔を真っ赤に染め、涙目で睨みつけられるがそれはかえって征服欲を満たすだけだ。
指先で形を確かめていたものを握りこみ、手荒というほど強く揉みしだくとルークはあっという間に限界を迎える。
「あぁぁぁっ!」
細い悲鳴の後は解放の余韻に身体はピクピクと痙攣し、浅く早い呼吸を繰り返す。下着の中で放ったものが伝い落ちていくのを掌で感じ、アッシュはルークのズボンのを脱がし足から引き抜く。
白く汚れた陰部と体毛。てらてらと妖しく艶めかしい光景に我知らず……喉か鳴る。
「あ、だめ……!」
抵抗を物ともせず、餓えた獣の様に足を肩に担ぎ上げ眼前に晒されたルークの陰部に舌を這わせる。口に含み吸い上げ、掌で竿や袋を揉みしだくだけで室内にルークの荒い息と意味の無い喘ぎ声が溢れていく。
それに気を良くし、腰を高く持ち上げ固定すると竿から袋、袋からさらに奥まった秘所に舌を這わせていく。
ルークの蕾は先程の射精により濡れそぼっていた。その苦味のある蜜を舌先に絡めながら蕾を割り開き、入り口を舐め解してく。
舌を離し、片手で腰を固定したまま蕾に指を一本差し込んでいく。ルークは仰向けで腰を高く上げ、大きく足を
開いたまま喘ぎ混じりの呼気を繰り返す。指先をゆっくりと根元まで差し込み関節を曲げて粘膜を愛撫すると腰に緊張が走り、爪先が伸ばされ空を蹴る。
「ここ、お好きでしたね?」
優しい笑顔を浮かべ、アッシュは前立腺を繰り返し刺激する。ルークの意識が快楽に向っている間に、指の本数は三本に増やされていた。
「ひあ!…あぅぅ!い…い。あっしゅそこもっと!もっと……つよくぅ!」
請われるままに強く引っかくとルークは射精の無いまま絶頂を迎える。
「あ、も……ほし……」
ふらふらと力の入らない手がアッシュの肩から腕を意味ありげに撫でる。意味に気付いたアッシュはズボンの前を寛げ、ルークの身体を引き寄せる。
ベットに膝立ちし、股間の辺りにルークの顔を近づけると堪らない様子でルークはアッシュのものを口に含んだ。ルークの痴態に十分すぎるくらいに猛るものを含み、先走りの独特の味にルークは頭の中が痺れ始める。
「んん、ふぅ…んく」
アッシュの手が優しくルークの髪を撫で、ルークからの愛撫を受けながら着たままだった衣服を脱ぎ捨てる。
露わになる鍛え上げられた身体に目が離せない様子のルークの身体を抱き上げ、対面する形に座らせ、高ぶり
をゆっくりと挿入する。
「んんんぅ!!!」
肉を押し分け、奥深くまで自身を埋め込むときゅうっと媚肉が絡みつき絞り上げられる。息を詰めて射精感を堪
えるとさらに射精を促すような妖しい動きと腸液がアッシュのものを包み込む。
「熱い…ですね、貴方のここは」
「いうな……ぅ」
アッシュが蕾をさらに指先で広げ入り口を引っかくようにすると、緊張が走り締め付けがきついものに変わる。
腕の中の愛しい恋人であり主君を抱きしめなおすと、律動を始める。最初は揺るかに、そして徐々に激しいものに。
奥を突き、激しく上下に粘膜を擦られるたびにルークは吐息混じりに喘ぎ、アッシュの背中に爪を立てる。思考はとうに麻痺し目が眩む様な激しい快楽に何も考えられない。
前立腺を何度も突かれ、互いの腹に擦られたルークのものは数え切れないほど蜜を噴出す。ルークが達する時、同じ様にアッシュも絶頂を迎え、それでも収まらない欲に目の前の身体に溺れる。
繋がりあう箇所からはぐしゅぐしゅと淫靡な水音と共に吐き出されたアッシュの精液が漏れ出していた。
深夜近くに乱れたベットの上で寄り添うように横たわっていたアッシュは静かに身体を起こした。ルークが強引に取ったこの部屋は他の同行者の部屋からは距離がある。朝までいても問題ないだろうが……。
すぅすぅと寝息を立てて眠る様子にアッシュは微笑んだ。
この先も彼らは非礼を続けるのだろうか?ならば手を打たねば。
愛しい主君に誓ったとおりに、必ず守り抜くのだから。
最初の一歩はアクゼリュスだ。あそこから自分達は自分達の道を行く。
「愛してる」
そっと囁き、瞼の上に口付ける。
もう直ぐそこまで来ている自由を待ちわびながら……アッシュは一人暗闇で決意を新たにしていた。
END
何か続きそうなおわりですみません。久しぶりの表現乱用でお見苦しくてすみません。