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TOA・ボーカロイド中心の二次創作です
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ブログに書いている事を最近読み返していたのです。
寒いとか、痛いとか、冷えるとかばっか書いているのに気付いた!!
なんだか不健康だなと思いながらも今は咳が出るのだ。


今回はボカロの現代パロです。
 


+ + + + + + + + + +

 

あなたとわたしは……

 

 駅構内でミクは親友を待っていた。時計を確認したミクは困った様子でカバンから携帯を取り出して液晶を睨みつけた。
 親友のルカは朝が酷く弱い。
 学校は頑張って起きて遅刻はしたことは無いがその反動か休日のルカは起きれないのだ。
 それを知っているミクはルカの家に行き彼女の部屋に入って寝ている彼女を起こしたり、起きるまで待っていた事もあったが、今は……。
 ルカの番号を呼び出してミクは躊躇いがちに通話ボタンを押した。
 数コールの呼び出しの後に聞こえてきた声にミクは思いっ切り息を吸い怒鳴りつけた。
 『……はい。ミクちゃん?』
 「なんで……アンタが出るのーー-!?」
 ミクの渾身の一撃に男が呻いているのが携帯越しに通じた。ざまあ見ろと息を切らせながらミクは笑った。
 「それで……ルカは?」
 『……今、凄い勢いで支度しているよ』
 耳を澄ますと微かにきゃーと騒いでいる声が聞こえてくる。


 「先生っ……ミクから? だったら十分で行くって!!」
 「分かったから、前見ろ」
 がくぽの注意もむなしくルカは自室のドアに頭をぶつけた。鈍い音をさせてルカはそのまま部屋の中に姿を消した。
 「……十分で行くそうだ」
 『……そうですか』
 固いミクの声にがくぽは首を傾げた。
 「ミクちゃんが怒っているのは俺だね?」
 『分かっているのならよろしい。……十分って言うことは十五分位かな?』
 「多分ね。……言い訳かもしれないけど俺が出たのはミクちゃんからだからだよ?」
 

 

 携帯越しの低い声が微かに笑みを覗かせる。卑怯だ。
 「わたしだからと言っても……気を付けないといけないのは神威先生の方では? 教え子と同棲しているなんて、知られたら……」
 声を潜めてミクはワザと先生を強調して小言めいた事を口にした。
 『あーそれを言われると何も言えないな……でも、ミクちゃんは優しいな』
 予想にしない事を口にする男を携帯越しに睨みつけてミクは低く言い募る。
 「いえ、別に……わたしはルカが心配なだけです」
 そう、こんな男の事では無く従姉妹で幼馴染みで親友のルカが心配なだけだ。
 ただこの男に何かあればルカが悲しむのがわかるからミクは何度も同じことを言い続けている。
 嫌われる覚悟というよりもむしろ嫌えと言わんばかりの態度でミクは接しているのにそれさえもこの男は優しいと言ってのけるのだ。本当に卑怯だ。
 『ただ、俺としては……昔みたいにミクちゃんとも仲良くしたいのだけどね。……ルカ、携帯はここだ』
 切れた携帯の液晶をミクは睨みつけた。
 昔みたい……ルカの家庭教師をしていたがくぽがルカを連れて遊びにいく時にミクもよくついて行っていたし、ちゃっかりと自分も教えてもらっていたのだ。懐かしい思い出にミクは唇を噛んで携帯を操作した。

 

 「行ってきます!!」
 「あー気を付けろよ。特に足元!!」
 慌てて飛び出していくルカを見送り玄関に立つがくぽの注意にルカは手を上げて答えた。
 その姿にがくぽは笑みを浮かべた。ルカの姿がエレベーターに消えたのを見てがくぽは室内に戻った。
 机の上に放りっぱなしにしていた自分の携帯が鳴っていた。相手を確認したがくぽは首を傾げて出た。
 「はい、ミクちゃん? ルカなら今飛び出したよ」
 『そうですか……わたしはあなたとは仲良くなんてしません』
 わざわざそれを伝えにかけてきたのかとがくぽは首を傾げた。
 『わたしは……あなたとはライバルでいいのです』
 「ライバル?」
 『はい、ルカを巡って、ですね』
 「つまり……態度を変える気もないと」
 『はい、そうです!!』
 我が意を得たりと携帯越しの少女が元気よく答える。

 


 「はい、そうです!!」
 ミクは元気よく答えた。
 仲良くなんかミクには出来なかった。
 がくぽはミクの望むものを持っていて無い物も持っているミクがどれだけ欲しても今のミクには手に入らないものばかりだ。
 この男はルカが望むもの全てを与えことが出来るてルカを愛していてルカもこの男を愛していて、ミクがルカにしてあげられない事を簡単にしてのけるこの男をミクは……嫌いだ。
 八つ当たりだと言うのはミクにも分かっているがただミクはルカが好きでルカはがくぽが好きでがくぽもルカが好きで……どうしようもない。
 だから……ミクはルカの幸せを願っている。そしてそれが出来るのは自分ではないからこそ、それが出来るがくぽにキツク当たる。
 だから仲良しではなくライバルがいい。
 携帯越しにがくぽが笑うのが分かる。だからミクも笑う。
 『なるほど……分かったよ』
 「分かればよろしい。……あっルカ!!」
 桜色の髪をなびかせてルカが駅前を駆けてくるのに気付いたミクは通話を終えて手を振る。
 ミクに気付いたルカは笑みを浮かべてミクの元に駆けてくる。
 時計を確認したミクは一つ頷きルカを迎えた。
 ルカの呼吸が落ち着いてからミクはルカと改札を抜けて行く。


後書き
ルカとミクは高校生で、がくぽはその高校の教師です。
書きたかったのはルカの携帯に出るがくぽです。はい。
By 瀬川 唯

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