懸念事項はネーミングセンス
「ダメです!! そんなのは認めません!!」
「だめですか? 良いと思いますが……」
少女は怒りに震えてキヨテルを睨みつけ勢い良く机を叩いた。
キヨテルは少女と机の上の紙を交互に見た。
首を傾げるキヨテルに少女は噛み付かん勢いでまくし立てる。
「ダメです!! 『パートナー探しは……』なんて……違うパートナーを探してる人が来てしまいます。第一、ここはペットショップですよ!?」
少女は叫んで机の上に広げられたポスター案を握りつぶした。
「可愛い仔犬、仔猫ぞくぞく入荷!! でいいじゃないですか」
「ミキさん、その表現はダメです」
「店長のポリシーに反するんですね!? だったら店長のアップじゃなくキレイどころ集めて『みんなで待っています!!』でいいじゃないですか!! こんなんじゃ、趣旨の違う店になってしまいますよ!?」
ミキはバシバシと胡散臭いほど爽やかに笑うキヨテルが入ったポスター案を叩く。
必死に言い募る彼女の意見にキヨテルはなるほどと頷いた。
自分はただ仔犬や仔猫を大切にしてくれる人との間を取り持っているだけなのだ。
欲しいと言われても相性の合わなさそうな人には売らない。
健康で問題のない仔を扱い良心的な価格で売る。
それがキヨテルがこの店を開くに当たって決めたことだった。
今でも店に顔を出してくれる顧客は多くいる。そして彼らのニーズに合わせてドッグカフェや服のオーダーなどを手がけるようになったキヨテルの片腕として活躍しているのがミキだ。
「そうですね、やっぱりミキさんにお願いします」
「最初からそうして下さい。店長はカワイコちゃんを集めてください。その間にキャッチコピー考えておきます」
ぐったりとミキがキヨテルに指示を出す。
後日完成したポスターを店内に貼るキヨテルの後ろで満足気に笑うミキがいた。
後書き
ごめんなさいとしか言いません。
キヨテルさんはこれからも猫ルカ、犬ぽの良き店長さんでいてもらいます。