宿屋の一室に集まった面々は一様に落ち込んだ表情を隠さず、重い空気の中で話し合いを続けていた。
「瘴気……か」
ガイが重い口を開く。
「困りましたわね、アッシュが手伝ってくださり大地の降下もうまくいったから油断していたとしか」
「あいつは、私達の手伝いって言うか~。あのレプリカの為って感じじゃなかった? 」
「まあ、アニス! そんな事はありえませんは! 大体、あのレプリカが記憶をなくしたとか言ってアッシュの保護下にあった事を私たちは最近まで知らなかったではありませんの」
「それはそうだけど~。あいつ何考えてるのかわかんないし」
アニスやナタリアの会話に皆、口を挟まずに聞いていた。アッシュが突然、降下作戦の時に参加した時には疑問に思い疑いもしたが疑わしい行動も取らなかったこともありそのまま続行したのだ。
結局は、記憶喪失になり精神年齢が退行したレプリカルークのためだったのだと、ヴァン存命の報を聞き集まった仲間達の前でヴァンと交戦する二人と遭遇し明らかとなった。
アッシュはレプリカが受け取り損ねた宝珠を求めて、レプリカと共に行方をくらませている。しかし、ダアトで行われた瘴気に対しての会議には顔を出しているのだから、現状は理解しているはずだ。
其の時、室内に控えめなノックが響いた。一同顔を見合わせ、代表でガイが応対する。
「はい。」
「フロントのものです、お客様です」
「客? 入れていいかい? 」
そうたずねると一同、直ぐにでも応戦できるようにしつつ頷いた。
「どうぞ」
ガイの応対に安堵した様子でフロント係は一人の人物を中に入れてきた。……その人物は。
「ルーク!! 」