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微かに喘ぐように息を吸うと緑の目がこちらをひたっと見据えてくる。其の目の中に敵意は無い。それでもうまく言葉に出来ないのか視線は揺れ動き忙しなく指を動かしている。
「アッシュ。俺、俺……その……」
「俺、アッシュが好きだ」
其の言葉が耳から離れない。
倒れた体を無理やり起す。筋が引き攣れ激痛と引きちぎられるような感覚が皮膚の下で起こる。関節がおかしくなっているのか動かすたびに諤々と動き外れる様な痛みが走り、目の前がちかちかとする。
「るーく、るー……どこ、だ」
目に血が入り赤く染まる視界。其の先に倒れたルークが光の粒になっていくところだった。
「あ、あ。あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! 」
体を無視して起き上がる、否。体を忘れて起き上がり、ルークを殺した者に第七音素の塊をぶつける。周りのものも巻き添えに消し去りながら其の世界ごと消して……。
音譜帯の中でローレライが集めたルークの魂を抱きしめる。涙が我知らず流れて、愛しい光を濡らしていく。
慰めるように明滅する光に頬を寄せ、アッシュは疲れた体を僅かに癒す。
「またがんばればいい、そうだろ? ルーク、だいじょうぶ。だいじょうぶだ。あいしてる……またいっしょに」
段々と強くなる……狂気。
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